只今十六匹にて候  <十三両目はプリンセスになりそこねた『プリン』>

 まだまだ続く猫の電車。

       *       *       *

 この子猫を最初に見た家族は、あまりの美しさにメロメロになった。
うちには水色目の白い子猫たちがいるが、この子猫は猫の種類が違うように素
晴らしかった。
まず、毛は微妙な色合いの模様になっていて、毛足が長い。
フワフワしていて、眺めているだけで幸せな気分にしてくれた。

 家族は豪華で気品があって、貴族的だから、「プリンセス」と呼んだ。
私は猫に関しては、我が家ではいちばん洞察力があると自負している。
その私の見たところ、この猫はプリンセスではないと、直感した。
野生の直情的なところが、子猫の目の動きにみてとれたから。
ほんとのところ、十匹もの子猫に名前をつけた後で、少々うんざりしていた。
(プリンセス)という名前にしたら(おこげ)や(あわび)が哀れである。
そこで決断(プリンセスのセスを抜いて)美しい子猫は『プリン』にする。

 プリンは、私が見抜いたように、おっとり優雅な女王の風格の猫ではない。
人間よりも猫同士のつきあいのほうに神経を使う猫である。
プリンは、変な言い方であるが、<猫が好きな猫>である。
先に紹介したベアは<猫よりも人間が好きな猫>である。


我が家に来て、みちるママのお乳に最初に吸い付いたのはプリンであった。
プリンとベアはいつも一緒に行動する。
子猫を三匹づつ生んだのも一緒だし、育児も共同保育だった。

三匹姉妹猫の、のこりの一匹が問題児猫なのである。
この子猫は次に紹介する。

                            (次へ続く)

     <おぼえメモ>

プリン 平成10年4月20日に誕生
    野良婦人の孫。

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