このひと夏は、帰省した大学生の次男にホームページ開設の指導をしてもらった。
パソコンのしくみが理解できないで、へ理屈ばかり並べて、閉口させた。
石頭の母をいたわって、毎日噛み砕いてパソコンのしくみを教えてくれた。
そして今日が最後の日である。
夜明け前から、パソコンの前に座り、キーボードにスイッチを入れた。
猫達のことでご近所から苦情をいただき、謝って歩いているうちに心理的に追い込まれて
しまった。そのおかげで、文章を綴る気になり、長い猫物語の『只今十六匹にて候』と、
やや自虐的な気持ちを込めた題ながら、内容はユーモラスな物語にした。
そしたら猫の嫌いな皆さんにも読んで貰いたくなり、新聞に投稿することを思いついた。
愛読する新聞ページに原稿を送ったら、返された。
原稿をたらいまわしに、あちこち送り、ついに掲載してくれる新聞にめぐりあう。
陸奥新報社では原稿用紙3枚にしたら10回連載で載せてくれるという。
それも半年先の9月ならという。(その時は4月だった)
『只今十六匹にて候』はプロローグ、エピローグを加えて全18遍の構想である。
一匹、一匹の猫をこころを込めて書くつもりだから、陸奥新報社の親切はお受けできない
と思った。息子が夏休みに帰省したらホームページを作ってそれに載せよう。
その旨を、電話で陸奥新報社にお話した。
ところが、思うようにいかぬのが世の常であるが思わぬほうへコマがまわることもある。
近所の塀に『猫の飼い主は猫を管理して』の張り出しが出た。
絶対絶命である。うちの猫だという証拠があるわけではないが、まず出向いて謝った。
良いほっけ(魚)があったので開きにして、干しておいたら盗られた。とおっしゃる。
ご立腹はもっともである。平謝りに謝った。
猫に対する愛情と、人様へのご迷惑に対する自責の念が、嵐のように心をかき乱して、つ
いに私はキレタ。そして行動に出た。
3枚の10回でもいいですから載せてくださいと、陸奥新報社にお願いしたのだ。
それが4月のことである。
それから私は猫たちを10回の短い読物にするため、構想を練り直して書き直した。
編集者のアドバイスで川柳と写真をくわえた。
これ等の作業が私の神経の昂りを抑えてくれた。
そして、この夏に帰省した次男にパソコンの手解きをして貰って『またたび館』の開館に
いたったわけである。今日はその最終日で次男は今夜、寝台車で上京する。
パソコン先生有難う。
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