この春にiMacを手に入れた。
使いこなせずにホコリをかぶっていた。
入門書のようなものは、いっさい読まなかった。
大学生の息子が帰省するのをひたすら待っていた。
「ホームページを開きたいんだけど、教えてくれない?」
今まで息子に注ぎ込んだ分を、今こそ取り戻そうという魂胆であった。
8月中は酷暑だった。
マウスを握っても、すぐ眠くなった。
「ぼく、ソロソロ夏休みが終わるからね」
昔は夏休みが終わる頃、宿題で四苦八苦したものであった。
この夏は、大人になって帰省した息子が、母の私を叱咤激励する番だった。
20年をかけて息子の中に積み立てた、母としての威厳をなしくずしにしたこの夏。
「プロバイダはサイトしたファイルをインストールされて、アップロード???」
のみこみの悪さも軽薄な性格も息子に暴露してしまった。
<猫>
ここ数日は見えなかった(夏衣装バットマン)がまた庭をうろついていた。
オスのちる平とまたちゃぶは、目にも止まらぬ早さで逃げた。
あとのメスや子猫たちは、逃げないが、気分を害したという顔をしている。
註*(夏衣装バットマン)とは、付近の家猫らしいが、我が家の庭を縄張りにして、朝夕
にマーキングをしに来る。バットマンながら夏は暑苦しいから絽の衣装をつけているとル
ックスを想像いただきたい。
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