46 ラルフ氏へ ここ数日の脳内の歌は
ラルフ様 御机下。
前回は我が脳は、弱り果ててしまったということを報告いたしました。
また今朝がたも目覚めた布団の中で考えました。
記憶できないということは、我が身にとってはどうでもよいことに属することだからではないか。
死活にかかわる事態であれば、我が脳とてもう少しは活力を発揮するであろうに。
このことから、忘れるということはこれも脳の特質であって、結構なものであると考える。
私だって相手の心をつかもうと本気で恋歌を詠んだら、翌日には忘れたりはすまい。
いにしえ人の歌をおぼえるなどは所詮戯れ事でしかありません。
脳を鍛錬どころか、かえって傷めてしまうかもしれない。
と、我が脳は自己防衛の手段にでる、、、、が今の私はこんな私に騙されない。
自分に都合の良い方向に走るのが脳の特徴である。
特に我が脳においては顕著なことである。
以上を踏まえた上で考える。
困難な局面は迂回するという向上も進歩もない生活には飽きた。
自己を肯定する
気合いの入ったくらしをしたい。
そこで百人一首は何が何でも憶えたい。忘れても忘れても思い出す。
文字を書き連ねるのが、無我の境地を誘発するようで気持ちがよい。
上段も下段も『こ』の句は一句しかない。これを憶えました。
心にもあらで憂き世に永らえば 恋しかるべき夜半の月かな
三条院
(2010.04.05)