43 ラルフ氏へ 最中からサブレ
ラルフ様 御机下。
前項では上の句も下の句も『あ』ではじまる三首のことを述べました。
有明のつれなくみえし別れより== 暁ばかり憂きものはなし
浅茅生の小野の篠原しのぶれど== あまりてなどか人の恋しき
朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに== 現われ渡る瀬々の網代木
有明のつれなくみえし別れより、、、、、の例の30歳の未婚の菓子職人
は私が勝手に作り上げた架空の人物
ですが、30歳で未婚であると私の脳内で設定したのには続編が出来ました。
モナカ作りの和菓子職人の壬生忠岑くんは後に息子が生まれて忠見と名付けていたのです。
41番の壬生忠見(みぶ ただみ)くんは、父親に負けないくらいの恋歌で対抗。
恋すてふ我が名は未だき立ちにけり 人知れずこそ思いそめしか
恋をしているボクのうわさが早くも立ってしまった こっそり思っているつもりだったのに。
この歌が覚えられない。下の句が『ひ』で始まる句が10句もあるのですから。
下の句が『ひ』ではじまるのは
人こそ知らね
人こそ見えね
人知れずこそ
人づてならで
人に知られで
人には告げよ
人の命の
人目も草も
人をも身をも
昼は消えつつ
以上の下の句10句はカルタ取りの実戦では、大混乱の札なのではないでしょうか。
そこで私は脳内で戯作を試みました。
『恋すてふ』とは古語で、現代発音では『恋すちょう』と読みます。昔は『てふてふ』と書いて『蝶々』
と読みました。そこでひらめきまいた。
父親の最中『有明』に対抗して息子は『恋す蝶』というネーミングでバタフライの形のサブレを創作。
創作サブレ『恋す蝶』は未公開なのに同業者に洩れてしまったらしい、誰にも知られないようにこっそりの
思いつきだったのになあ、、、。壬生忠見(みぶ ただみ)くんの悔しい思い。
サブレ『恋す蝶』はバレンタインデーのお返し品として、菓子業界に君臨する商品になるでしょう、、、か?
(2010.03.23)