42 ラルフ氏へ ありあけ
ラルフ様 御机下。
下の句が『あ』のものは全部で八首ですが、上の句も『あ』ではじまるものは三首あります。
1 有明のつれなくみえし別れより== 暁ばかり憂きものはなし
2 あさじゅうの小野の篠原しのぶれど== あまりてなどか人の恋しき
3 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに== 現われ渡る瀬々の網代木
最初に暗記した『あ』ではじまり、『あ』で終わる三首です。
トップの『有明』は故郷の老舗和菓子の開雲堂 の最中の名前『有明』を
頭に浮かべておぼえました。
丸く白い殻にあんこがたっぷり詰まった、有明の月を連想させる銘菓でした。
開雲堂の最中では、薄焼色の白あんの詰まった四角な最中の方を好んでいたことを思いだしたりしました。
おかしなものですねえ、錆び付いた脳に喝入れのための百人一首暗記の最初の手がかりを故郷の最中が
助けてくれるなんて。
ついでと言っては何ですが、小倉百人一首ではこの歌は30番目なので 、30歳の和菓子職人『壬生忠岑』くんが
毎日奮闘してあんこを練っている、という風におぼえて、、、、彼の失恋秘話。
有明のつれなくみえし別れより== 暁ばかり憂きものはなし
『有明』と下の句の『暁』もほぼ同意語で同音なのでおぼえやすい。
30歳の未婚職人『みぶ ただみね』くん、めげないであんこをこねて下さい。
(2010.03.23)