
親愛なるワトソンへ、
久しぶりに便りが届いてビックリしたようだね。 驚かせて申しわけない。 旅から帰宅して間もない。
印象が鮮明なうちに君に知らせておきたいとおもったのだ。
医者(=科学者)の君にとっては内容がいささか突飛だったかもしれないな。
僕が旅行好きなのは、旅がこの世界に存在する全てのものはお互いに関わりあっているという事実を
実感させてくれるからだ。 一見孤立しているように思われるものでも、必ずどこかで繋がっている。
たとえば、北極と南洋は全く異なった世界だと思われるかもしれないが、船に乗って長いこと航海すれば、
北極から南洋に達するのだ。 北半球の寒い冬が嫌だったら船に乗って赤道を越えて南半球にいたればそこは夏である。
(飛行機より船のほうがずーっと時間がかかるが、そのほうが面白い。 環境がじょじょに変化していくのが眼にみえるし、
身体と精神がその変化に慣れていく時間もある。)
そして、そのつながりは生命についてもいえると僕は思う。
現在生存している存在と過去に存在したものは全く切断されてるのではなく関わりあって継続していくものだと僕は思っている。
それと同じことで、僕はどんな動物でも昆虫でも仲間だとおもっている。
鳥や犬猫ならかならず声をかけてやるが、蝶や虫ならその形態のデリケートな美しさを嘆賞する。
春先に真っ先にかしらをだしてくるクロッカスは、どんなに冬が厳しくてもいつかは大地が暖まり生命を
活動させる自然の摂理を確認させてくれる。 われわれ人間もその生命力を与えられているはずだと、元気づけてくれる。
だからワトソン、元気をだしたまえ。 悲観的になってはいけない。
春の日差しを背に受けてそのエネルギーを受けとめたまえ。
ホームズ
追伸: 最近ビタミンDが”太陽のビタミン”と呼ばれてその効果が話題になっている。 君は知っているかな?
(2010.03.19)
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