
親愛なるワトソンへ、
君が孫娘とかるたとりのゲームをしている写真をまたたび館でみせてもらった。
それから生後三ヶ月になる最新の孫が父親に抱かれてつぶらな眼をカメラに向けている写真も拝見した。
君の生活は穏やかそのもので、まさに生涯一生懸命働いてまじめに生きてきた人間にふさわしい光景だ。
日本はなんといっても平和な国なのだよ。
その一方、今日震度7度の地震があったニュースを聞いたかい?
今回はカリブ海にあるハイチで、被害の具合がまだわからないほど混乱しているそうだ。
この国は僕がちょうど一年前に訪問したドミニカ共和国のおとなりである。
キューバ島の東側にイスパニョーラという島があってその東半分がドミニカ共和国で西半分がハイチである。
島はその昔コロンブスに発見されたが、現地人がいたにもかかわらず、ヨーロッパ各国が領地にしようと争い、
最終的に西半分はフランス領(ハイチの言語はフランス語)、東半分はスペイン領(ドミニカ共和国の言語は
スペイン語)におさまった。
ところがその統治のスタイルが国によってとても異なり、ドミニカ共和国は比較的おちついているが、
ハイチは現在カリブ海で最も貧しい国とみなされている。
地震の被害などこうむらなくても現地人はすでに苦しんでいるのだ。
被害の程度がまだ確認されていないが、あの地域ではさらに余震や津波を恐れているという。
告白するが、この僕もあの地震に出会ったかもしれないのだ。
数ヶ月まえ、カリブ海のクルーズを考慮したが、飛行機でプエルトリコまで飛ぶのが嫌なので、
汽車で始発点までいけるメキシコ西海岸クルーズに変更したというわけだ。
国際情勢の不安定さのみならず自然現象の不安定もあって、このごろの旅行はなににでくわすか
わからないのが実情である。
それでも僕はあさって朝4時半に出発予定である。
ホームズ
(2010.01.13)
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