
親愛なるワトソンへ、
こうして君に便りをするのは何年ぶりであろうか。
僕の気まぐれを赦してくれたまえ。
その間に君は東京に移転し、さらに4番目の孫までさずかるということで、ものすごい変化ではないか!
君が東京に住むことになるだろうなどと夢にも思わなかったのではないかね? 人生とはそんなものだ。
一丁先の曲がり角では何が待っているか見当がつかない。
どんなことに遭遇しようが、臨機応変に対処するのが僕たちの取り柄ではなかったかね?
ともかくも君が孫たちに囲まれて落ち着いた隠居生活を経験しているのは、僕にとっても嬉しい。
その反面、この僕といったら、一人身の気楽さもその原因であろうが、まだ旅をすることに魅せられている。
正直なところ、もし探偵業に足をつっこまなかったら僕は探検者になっていただろうとおもう。
未知の場所に足を踏み込む興奮。
自分がこれまで体得した常識や習慣が全く通用しない世界に遭遇したときの驚きと興奮。
そこで、僕は安楽な隠居生活を楽しんでいる君に僕の経験を知らせたいとおもったのだ。
君は「armchair
traveler (安楽椅子に座った旅行者)」としてのんびり読んでくれれば良い。
とはいいながらも、3日後にはまた旅にでる。
そこで、インターネットに手がとどくか否かによって僕の次の手紙のタイミングが決まる。
あまり期待しないで待っていてくれたまえ。 英語の表現だと 「Don't
hold your breach」という。
では、また。 ホームズ
(2010.01.11)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
生死のほども定かでなかったホームズ先生から時事通信社経由で突然メール受信。
我がまたたび別館が、ただちに独占掲載できた幸運を読者と共に喜びたい。
ホームズ先生から次なるメールを戴けるのはいつになるか。
読者と共に、次なるメールを待つことにしょう。
またたび別館編集部
|