
猛暑の昼下がり、瓢箪のつくる日陰でゆっくりする。
ホームズ、ホームズと言ってホームズの若かりし頃の幻影を求めている自分を見いだしてしまう。
時は流れる。とどめようが無い。
ここで老いて朽ちるのであれば其れも良い。
千なり瓢箪といえば、まっさきに豊臣秀吉を連想する。
千なり瓢箪の絵柄を彼が戦場の旗印にした心情は、いまの僕にはよくわかる。
勇猛果敢に世の中を制覇していった彼の熱くたぎる情熱は、ぼくの人生にだって少しはあった。
本当は、あったような気がするだけかもしれない。
だいいち戦いは嫌いだった。
ひとの上に立つのは最も嫌い。
あたりを気にしないことをモットーにしてきた。
というより、自然にそうなったのだ。
しかし、ホームズだけは僕の見果てぬ夢だったよ。
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