122 古き友を尋ねて(Mのケース)


 

 

 

(その1)Mのケース。

君は知らないかもしれないが、僕には6歳年上の兄がいた。 
南カリフォルニアに住んでいたが、その昔に口論したことが原因で、
長いあいだ付き合いがなかった。 
ところが、僕が81歳の時、そちらの地域にドライブ旅行したことがあった。 
その時も彼を訪問するつもりは全くなかったのだが、彼の奥さんが僕たちの兄弟仲を心配して、
ぜひ立ち寄ってくれるように、と電話で懇願してきた。 

それで立ち寄った結果、仲直りができた。

彼は七人いる姉兄のうちでたった一人残った兄なので、とても嬉しかった。 
ところが、その喜びもつかの間で、彼は3週間後に亡くなった。 
というのも、奥さんが運転していた車が転倒して、乗客であった兄の打ち所が悪くて死亡しのた。
彼女に対しては感謝半分、うらみ半分という気持ちだった。 
それ以来、僕が兄弟のなかでたった一人の生き残りである。

ホームズ



 

 

 


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