108 ホームズ船旅(船旅の理由)


 

 

 

雲と同様、海にもいろいろな色と波の表情がある。 
最近はどの船も安定装置をそなえているので安全になったが、
それでも恐ろしい高波に翻弄される場合がある。 

その昔、未知の土地を探して航海したコロンブスやクックの苦労は
いかばかりかと思いをはせる。 
へらたい地図は役立たずだから、地球儀をもちだしてをその進路を指でたどる。 
人間は全く小さい存在なのだ。 
自然力の偉大さというものをつくづく感じさせられる。 
だからそれを克服するときの喜びは大きい。

そこで、船旅をしていると赤道を越えるときには必ず大きな儀式を行う。 
海の神ネプチューンにあやかるわけだ。 
その日、すわりあわせた乗客にその儀式に参加するのかと訊いて見た。 
「あら、私はこれまで30−40回ほど赤道を越えているから、
あんなのは興味ないの。」 
びっくりしてよくよく訊ねてみたら、彼女は南アフリカの出身なので、
カナダと南アフリカを飛行機で何度も往復したという。
飛行機という代物は便利であるが、旅行からロマンを取り去ってしまう。


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