100 ホームズ船旅(再会)

再会。

2007年10月20日(土曜日)船がポートチャルマー(Dunedinにちかい港)に入港した。 
行き違いせずに会えるかどうかなぁ、と心配しながら港の出口門にむかう。 
すると守衛がちかよってきた:「ドクター ホームズではありませんか? 
ドクター アダムズがお待ちかねです。」という。 
ダンカンと彼の新しい奥さんがキチンと椅子に座ってまっていた。 
この小さい町ではドクターというと、この時代でも尊敬をもって応対してくれるらしい。

ダンカンの顔立ちはこの前あった時よりも年老いていた。 
82歳になるはずだ。 しかしかれの表情、エネルギッシュな身振りは全く変わらない。 
あわただしく僕を駐車場に案内してくれた。 
僕が年上であることを意識して、足元や歩く速度に気をくばってくれる様子に苦笑せずにはいられなかった。 
(僕は足腰に全く問題は無い。 陽が熱くなければいくらでも歩ける。)

そしてドライブが始まった。 
先ずは地元の大学、病院、博物館、それから、勿論、かれの馬が放し飼いになっていた僕の土地。

その土地は切り立った崖の上に位置していて、そこから太平洋が見下ろせる。 
空の青空と海の青が地平線で区切られている光景は壮大である。 
それから眼を陸上にむけると、緑の藪とエニシダの黄色い花のコントラストが鮮やかである。 
吹きざらしの風にもめげず、エニシダはガンとしてゆるがない。 
昔は人家がまったく見当たらなかったのに、いまでは高価な新築家があちこちみえる。
数年前に「The Lord of the Rings」という映画のロケーションに使われてからというもの、
その荒野の美が世界的に知られるようになった。 
土地の価値は年々あがってきて、800ドルで購入した土地がいまでは210,000ドルの評価である。 
僕たちが訪問したときは、お隣の領地にだれかの馬が2匹草をはんでいた。 
ときには簡単な針金線をわたしただけの仕切りをこえてこちらにもやってくるらしく、
うちの領地にも自然肥料(?)がちらばっていた。

ダンカンは数年前に心筋梗塞で手術をうけたというが、全くスローダウンする様子がない。 
今でも学会誌に論文を発表しているようだ。

ホームズ


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