094 ホームズ船旅(東サモア)







東サモアにて


10月11日(木曜日)東サモアの Pago Pago  (パンゴパンゴと発音する)に入港する。 
西サモアは独立国であるが、東サモアはアメリカ領である。 
第2次世界大戦にアメリカ軍の基地として活躍し、いまでもその名残が強い。 
船が横づけになった埠頭の古いコンクリート壁に色あせたサインがみえた:「サモアをエイズから守ろう。 
安全なセックスをしよう。」 それが英語と現地語で書かれている。 その率直なアッピールが好もしかった。

このあたりはさんご礁にかこまれていて、アメリカ国立公園の一部に指定されているが、主な産業は観光ではなく
マグロの缶詰業である。そこで地元のツアーに加わると、高校生がガイドの役をする。 
そして港にはマグロの加熱処理から発する悪臭がたちこめる。 
しかし現地人の文化はいまでも根強く、種族の家長が権限をにぎるのがしきたりである。 
またその親切さ、礼儀の正しいことはよくしられている。 
また、学校にはすべて制服があり、男子女子ともに巻きスカートをまとう。 
その色の違いによって、学校がわかる。 

この島でも沢山のミニバスが走っている。 
一定のルートにしたがって走るのだが、それぞれの車は個人的に所有されているので、デザインも、設備も異なる。
また、交渉のしかたによって、これらのバスはすぐ個人タクシーと変貌する。 
僕は幸運にも他の3人の乗客と一緒にバスを一時間以上も借りて、島の南岸を観光できた。 
言葉が通じれば、タクシーの運転手は最高のガイドである。

僕たちの運転手の英語はことさらよかった。 
訊いたら、なんのことはない、つい半年前までシアトルに住んでいたという。 
兄弟はいまでもシアトルに住んでいるが、両親の健康がすぐれないので、世話をするために彼が帰国したという。 
その時に2トントラックを持ち帰ったが、それを友達に頼んで改造したのが、このバスであるという。 
なるほど内装はていねいな彫刻をほどこした木造で、16人乗りである。
彼の説明によると、東サモア人はアメリカ国籍をもたないので、選挙権が無いが、アメリカに入国するのは自由
である。島には高校とカレッジしかないので、大学教育をうけるにはアメリカ本土かハワイにいくことになる。 
希望すればアメリカ軍に入隊することができるし、戦場に行くことにもなる。 
そして帰国すれば自動的にアメリカ国民となるそうだ。 

不動産に関しては、お金さえあれば国籍にかかわらず、だれでも土地家屋を買うことが可能である。 
また不動産税などというもは存在しない。 
 (といわれて、僕はその気になったが、湿度の高いのと、マグロの悪臭を思い出して、思いとどまった。)

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