拝啓 ジョン・H・ワトスン様
私に対し、「三番目の息子」とまで評して頂けるとは、
身に余る光栄です。
その評価に対し、
私としても誠実に応えるという意味でも
私の今迄の仕事に関するエピソードを
包み隠さずお教えしたい所ですが、
残念ながらそれは不可能なのです。
勿論、
守秘義務に反するという理由もありますが、
それ以上に、私の業務担当が末端に位置する為に、
私自身でさえ自分の仕事の全容を把握出来ていない
というのが現状なのです。
私の担当している分野、
つまり本職はインターネット端末を用いた
情報収集なのですが、
新米であるが故に、
ある情報の収集・分析を命じられ、
それを上司に提出をしますが、
その情報が一体何に役立つのかまでは
全くの秘匿なのです。
例えて言うなら、
ネジを作る様に依頼されても、
そのネジが何に使われるか知らされていない
下請け工場の様なものです。
明智小四郎
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