073 ホームズ旅行中(ぼくの息子に)


明智小四郎くん


「相談相手どころか、娘の婿になって欲しい」
いや、待て、ぼくには娘はいないのだから、頼りにならない二人の息子の
代わりに、明智くん、君をぼくの三番目の息子にしょう。
まあ、冗談はさておき、明智くん、君をホームズの留守中のぼくの相談役に
認めることにする。
さてと、最初の相談をすっかり忘れてしまったわい。
なんだったっけ?
猫よりも天下国家について論じようではないか!

田舎に引きこもって猫たちとの安穏なくらしにどっぷり浸かったワトソンとしては、
ホームズが悪の総本山と目したモリアティ教授と戦ったベーカー街時代が懐かしい。
僕だってね、ホームズに協力して血湧き肉踊る時代があったのだよ。
明智くん、時代の先端をいく君に訊ねたい。
君は秘密機関で働いているのだから、秘密をまもるのが仕事なことは重々承知して
いるけれども、ちょこっとでいいから、僕だけに今までに手がけた仕事を
漏らしてはくれまいかな?

知りたがり屋のワトソンより



 


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