明智小四郎くん
僕とてホームズの親友、いわせて貰えば兄弟も同然である。
そのホームズの代理をたとえ、臨時であろうと務めようとの申し出は、片腹いたい。
(若い明智小四郎くんのために、あえて説明するが、「片腹痛い」とは腹痛を言って
いるのではなく、笑止千万、ちゃんちゃらおかしい、の意)
なんて、普通の頑迷な老人なら言うことだろう。
しかしだね、明智小四郎くん。
僕は普通の頑迷な老人を演じることはしないよ。 本名を名のることをしない明智小四郎くん。
寂しい老人であるワトソンの相手をしてくれようとしている君を信じたい。
しかし、君に僕の猫たちのことを相談するのは、もう少し先にする。
愛猫家のぼくを嘲笑しているのではとの危惧を、まったく捨てたわけではないことを
打ち明けよう。
軽いテストをするから答えてくれたまえ。
問題は「犬よりすぐれた猫の点について」
老いたるワトソン
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