親愛なるワトソンへ(4)
なごやかなおしゃべりが終わり、別れを告げることになった。
このハウスコー一家とは何度も顔をあわせていたけれど、親しくはなすのは今回が初めてで、
また会いましょう、と別れを惜んた。 彼らが玄関を出た後に、エルバがぼくに教えてくれた。
ビリーが18歳になって、はじめて養女であることを知ったが、生母をさがすということはし
なかったそうである。 ところが、人生の偶然(奇跡?)というものが彼女と生母をめぐり合
わせることになったのである。
ビリーは60歳のころバンクーバーのUBCの教育部で教えていたが、遠地からきた生徒がある
日彼女に言ったそうだ。
「私が昔お世話になった先生にあなたはそっくりで、びっくりしています。」
「どこでですか?」
「サスカチュワンです。でも今その人は未亡人で退職して、ホワイトロック
(バンクーバーの郊外で60キロぐらいの距離)に住んでいます。」
ホームズ
|