056 二度誕生した婦人(人生の奇跡)








     

     

     親愛なるワトソンへ(4)

     なごやかなおしゃべりが終わり、別れを告げることになった。 
     このハウスコー一家とは何度も顔をあわせていたけれど、親しくはなすのは今回が初めてで、
     また会いましょう、と別れを惜んた。 彼らが玄関を出た後に、エルバがぼくに教えてくれた。 

     ビリーが18歳になって、はじめて養女であることを知ったが、生母をさがすということはし
     なかったそうである。 ところが、人生の偶然(奇跡?)というものが彼女と生母をめぐり合
     わせることになったのである。 

     ビリーは60歳のころバンクーバーのUBCの教育部で教えていたが、遠地からきた生徒がある
     日彼女に言ったそうだ。
     「私が昔お世話になった先生にあなたはそっくりで、びっくりしています。」
     「どこでですか?」
     「サスカチュワンです。でも今その人は未亡人で退職して、ホワイトロック
      (バンクーバーの郊外で60キロぐらいの距離)に住んでいます。」

     ホームズ

 


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