親愛なるワトソンへ
夕食のまえ、僕は庭の椅子に座って晩酌をするのが習慣であるが、またしてもカラス
が姿をあらわす。
それは目前にある姫桜の枝にとまって身づくろいをはじめる。
翼を片方ひろげ、くちばしで羽を一枚ずつ梳く。 それから片足をあげて柔軟体操の
ようなことをする。
それがあまりにも優雅なので、僕はうっとりと見惚れる。
ところが、その仕草は実はカラスのエチケットの表現なのである。
僕が晩酌を楽しんでいるあいだは、露骨に餌をねだることをせず、 代わりに自分の
姿を見せびらかすことによって、僕の慈悲心を喚起しようというわけである。
というのも、僕がしばらく見とれていると、最後にはカラスもしびれをきらして微かな
声をあげて餌をねだる。本当に可愛い。
それからドラゴンボートに関する短文を楽しんでくれて嬉しい。
僕は一般的に書くことが苦手だが、表現したいことがある時はキチンと書ける。
散文人間である僕にとって「無駄も不足もない文章」というコメントは最高のほめ言葉である。
ありがとう。
ところで今日はアウトリガーの練習から帰宅したところだ。
正直なところこれのほうがドラゴンボートよりもスリルがあるのだよ。
そのうちアウトリガーについても書く機会があるだろう。
ホームズ
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