(022)から続く
ところで、ドラゴンボートは20人のこぎ手が二人ずつ10列に並んで座る。
先頭の二人のこぎ方でリズムが決まる。
残りのメンバーは自分の前にいるこぎ手のリズムに合わせてこぐのである。
各自が1.2メートルほどの長さのへら状のオール(パドル=paddle)
を使って漕ぐ。 慣れてくればボート全体のリズムを身体で感じるようになる。
(合唱隊のメンバーとして歌うような感じである。)
その一方、ボートの進行方向はボートの後尾に乗るコーチがコントロールする。
コーチが使うパドルは長さが2.5メートルほどもある。
これは漕ぐのにつかうのではなく、舵をとるのにつかわれる。
コーチは船尾に立ち、水中にその長いパドルを差し込んでその角度を変えるこ
とによって進行方向を操り、一般のわれらは足軽兵のごとく、ただひたすらに
前向きに漕ぐのである。
後尾に立っているコーチには全員の漕ぎ方がよくみえる。
15分ほども漕いで油がのったころに、コーチは全員に漕ぐのをやめさせて、
個人指導にうつる。 舵取りのパドルを誰かにたのんで、自分はボートの前端
に移動し、前から順番に2人づつ漕がせて指導する。
その間は他のメンバーはおしゃべりしたり、手持ちの飲み水を飲んだり、と自
分の番がくるまでリラックスする。
通常最後の席にはある程度の経験があるメンバーすわっていて、その人が舵と
りの代役をする。
僕とカレン嬢はいつも最後から3番目ほどの列に座るようになっていた。
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