012 茶色の研究(ますますこんがらかって)

 

 

 

 

 

 

     親愛なるワトソンへ、






     君の猫に関する話はますますこんがらがってきた。茶ピーと茶子の区別はわかったが、
     みちる(通称みーこ)の母親ぶりがよく理解できない。
     自分が腹をいためた子猫と迷い込んできた子猫の面倒をみるのは理解できるが、
     どうして“兄猫の子猫”まで面倒をみるんだい? 
     まるで兄猫がその連れ添いを失って、子猫をつれて出戻ってきたような言い方だな。
     その子猫たちの母親猫はどこにいるんだい? 同じ屋根の下にすんでいるのではないのか?  

    君だけではなく、僕の脳の配線もショートサーキットをおこしそうだ。

    ところで僕のボート活動の件だが、自分でさえ少々誇りにおもっている。
     この年になるまでこんなに海水と親しく交わるとは思わなかったのだ。
     人生一度しかない。機会があるなら、やらなきゃ損という気持ちである。
     とくにこれは年寄り初級者向けのプログラムで1回1時間半の練習がたった500円なのだ。
     それにみな人間的に成熟しているので、見せびらかそうとか、人より先にでようとかいう虚栄心がない。
    楽しんでやっている。それがカレン嬢でも気楽に参加できる理由だ。
     メンバーの思いやりが感じられるのだ。勿論、彼女はアウトリッガーにも加わった。
     水中におとされると聞いて一時たじろんだが、美しいバンクーバーの夏を水上で過ごすことができる
    と考え直して加わった。
     一回一回の経験が彼女の誇りをもりあげていく。
    (それに、練習の後にはいつも僕がお昼をおごっってやるという余禄もあるのだ。) 
    

     人生やれる時にやっておくべき、というのは本当である。
     日本での地震のニュースを知った。多数の老人が家屋の下敷きになって死亡したそうな。
     北米では竜巻による被害があちこちでている。一瞬の間に生活が破壊されるのである。
     残されている時間を一瞬一瞬味わってすごしたい。

    
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